プリーチャーシーズン4の最終話を見た。これで全シーズン終わったわけだが、正直名作だと思う。ただすべての人に勧められるドラマではない。
多くの人がその骨董無形な物語に混乱するだろうしあまりに無秩序で何を見せられているのかすらわからないはずだ。
私自身もこの物語の本質がなんであるのかもう少し時間をかけなければ語ることはできない。しかし、多くの名作がそうであるように理由を理解できない物語はある瞬間得心できるものに変わる場合がある。
それは物語の中で単純な感情を動かされるような作品とは違い、物語自体と深く向かい合わなければ理解すらできない。そこには物語以外のディティールだったり、表現の方法だったり、悪意だったりが混ざり合い、何かの化学反応を起こしている。
多分、あと数回見れば何かを言えるかもしれないし、やっぱり何も言えないかもしれない。だからこそ面白いのだ。
私たち人間が作り出す架空の物語。そこには人間の知恵と傲慢と、情けなさと、博愛と、思い上がりが詰まっている。そこには存在の意味とか真理とかありはしない。
しかし、現実だってそうだ。
私たちは生きる意味とか、誰かに必要とされる実感とか色んなものを欲しがるが、本質的に我々を作っている粒子の大部分は無でもある。
いやいやニヒリズムではない。
そんな 無から生まれた我々はこうして生きている。その奇跡は確かに奇跡なのだ。